いつもの通学路を見つめ直す 〜中学生の職場体験〜

2026.11.06あー

いつもの通学路を見つめ直す 〜中学生の職場体験〜

佐久穂町にある大日向中等教育学校の中学2年生のふたりが、こうみ・さくほ通信の職場体験に参加してくれました。企画・取材・ポスター制作までフルコースの2日間。中学生の「いつもの風景」が少しずつ変化していったプロセスや、彼らが見たまちの姿を、レポートします!

子どもたち主体の職場体験!

こうみ・さくほ通信での職場体験の受け入れは実は今回が初めて。どんなことを体験してもらおうかなあと考えるところから、私たちのプロジェクトがスタートしました。

事前の子どもたちとの打ち合わせでは、企画は自分たちで作ってみたい、という声が。主体性のあるふたりなので、できるだけ委ねてみることに。どんな企画が出てくるか、によって取材先なども変わってくるわけですが、もはやそれは当日にならないとわからないので、あるようでないようなざっくりとした計画だけを持って当日を迎えることにしました。

ふたりともデザインに興味があるという共通項があったので、通信のZINE作りで絶賛活躍中のデザイナーじろうさんに全行程お付き合いいただいて(ありがとう!)、いよいよ職場体験のスタートです。子どもたちからは、どんな視点が出てくるのだろう?私たちもわくわくです。

「人に伝えるってどういうことだろう?」

1日目、まずは、デザインって何?についてのじろうさんのインストラクションからはじめることに。

中学生たちは、普段からプレゼンテーションなどをよくしているので、スライドなどもたくさん作っています。デザインって、実は身近なもので、みんなも日々やっているものなんだよ、というお話にも、なるほど〜と納得。すでに自分たちがやっていることを振り返りながら、改めて人に伝えるってどういうことなんだろう?ということについて考えていました。

それらを踏まえ、企画会議へと進みます。「いつもの風景を違う視点で見つめる」という、こうみ・さくほ通信のメディアの軸を手がかりに、どんなテーマでまちを見ていきたいか、みんなでブレスト。

出てきたアイデアには、「影を見つける」「信号機を見つける」「標識を見つける」など、もうそのまま“(カッコ)的眼鏡”で使ってしまおうかな??と思うようなものがたくさん……普段は意識していないものを、あえて探してみようという発想がすばらしい!

企画はメディアの肝になる部分ですが、子どもたちを信じて委ねてみると、もう大人顔負けの色んなものが出てきます。そして対話を重ねながら、最終的に決まったテーマは「通学路」。学生ならではの発想で、めちゃくちゃよくないですか?

大日向中等教育学校の生徒たちは、電車通学の子たちも多く、最寄りの駅から学校までのルートが決まっています。つまり、みんな歩いている道を、ちょっと違う視点で見られるようにしてみたい、というアイディアです。

メディアのやりたいことを理解し、その上で自分たちの発想を自分たちの言葉にする。たくさん出たアイディアをもとに、みんなで対話しながらみんなで決める、というプロセス。実際に私たちも企画会議でやっていることを、するっとやってのけてしまうふたりに、思わずスカウトしてしまいそうになるほど。すごい〜。

テーマをもとに取材を進め、最終的にはA3サイズのポスターにする(事前に大人が決めたのはここだけ!)、というのが今回のミッション。というわけで早速、スマホを片手にまちにお出かけ。いったいどんなものが見つかるかな?

通学路を歩く、立ち止まる、寄り道する

学校を飛び出して、今朝も通ってきた通学路をみんなで歩きます。いつもは通り過ぎてしまうものをじっくり見てみれば、新しい発見がたくさん。標識も、よく見るとなんだかかわいい。とりあえず通学路を歩こうか〜、と言いつつ、こっちからの景色がきれいだよ〜と早々に横道へ逸れようとする大人たち(笑)そして、見てみたい!とついてきてくれた素直な中学生たち。かわいい。

少し横道に入ると、通学路が違う角度から見えてきます。高台から見るいつもの道も、なんだか新鮮。我々の一言を皮切りに、中学生たちも、こっちに行きたい!と自由に歩き始めます。いい調子。

目的地へ急ぐのではなく、気の赴くままに歩く。これぞ、まち歩きの醍醐味!

取材って、もちろん目的を持ってするものではあるのですが、そこに行って初めてこんなものがあるんだ、という発見が絶対にあるものです。私たちは、そういう思ってもみなかったものを大切にしたいのです。

電柱に貼られたカラスの営巣についての張り紙を眺めたり、軒先に飾られた植木鉢の考察をしたりと、ふらふらしながらもいつもの通学路に再び戻ります。途中にあった、中学生のひとりが気になってる、と教えてくれた猫スポットには、この日は一匹の黒猫がぐるりと丸くなって寝ていました。

私は今回初めて知ったのですが、ここにはいつも三匹くらいいるのだそう。そういう、自分は当たり前に知ってるけど、人は知らないことを共有できるのも楽しい時間。

駅まで歩く道の途中では、川べりに降りたり、冷たい風が吹く祠を見つけたり、いつもみている大きなパイプを辿った先にある調整池に行ってみたり、鬱蒼とした森の中にも足を運び、ちょっとした探検のような時間に。

こんなところがあったなんて知らなかった〜という子どもたちの声。実は私たちも知らなかった!こんなに毎日いるのに、知らないところがあるなんておもしろいね〜とおしゃべりも弾みます。

たくさん歩いて疲れたので、途中の公園でお弁当タイム。高台から学校を眺めながらお昼を食べて、学校へ戻ります。

普通に歩けば20分くらいの道のりを(脇道にもたくさん逸れたけど)2時間以上かけてたっぷり取材。歩いて見つけたものを各自のスマホで写真に収め、データ整理したところで初日が終了。今日はよく寝られそう!というみんなの声。さあ、2日目はいよいよポスター制作です!

もくもく制作、すごい集中力!

2日目は、小海に場所を移して一日中がっつり制作です。小海駅にお迎えに行って、私たちがいつもたむろ(いや、仕事)している「エキマエ照ラス」へ。

この日は、デザイナーじろうさんから制作プロセスの事例を紹介してもらうところから。どんなふうにひとつのデザインが出来上がっていくかを、実際のものを見ながら教えてくれました。

手描きのメモやイラスト、様々な資料などを大公開。おお〜どれもかっこいい!!いつもじろうさんが持ってきてくれるデザイン案の裏側に、こんなにたくさんの試行錯誤があったんだ〜と私も発見がたくさん。

考えるのも大切だけど、手を動かしながら変化させていくこと。じろうさんの言葉からいろいろなことを感じ取ったふたりは自分たちの制作に取り掛かります。

写真や見つけたものをどう見せるか、どんな構成にするか。それぞれが手を動かし、集中して制作を進めます。おもしろかったのは、ふたりのやり方が全然違うこと!パソコン上でとにかくたくさん作って、見比べながら制作していく子。はたまた原寸大の紙に定規を使いながらラフを描いていく子。もう自分のやり方を持っているんだなあと、なんだかグッときてしまいました。

ふたりが見た通学路は、どんな景色なのか。それをどんなふうに人に伝えたいのか。考えながら、ひたすら集中!ほんとに黙々とずーーーーーっと作業をしているふたり。途中でアドバイスやレビューをする場面もありましたが、それ以外は一言も喋らずに!とてつもない集中力で制作を進めていました。

朝から作業を始めて、気づくと日が暮れている、なんてことはものづくりあるあるですが……途中で散歩がてらご飯に連れ出したり、声をかけたりしながら、あっという間にタイムリミット!

アドバイスを受けて考え直したり、自分の表現を見直したりしながら、納得できる形を探し続けていたふたり。こだわったからこそ、5時間ほどの作業時間の中では納得できるところまでいかなかった様子。真摯に向き合っている証拠です。

みんなで相談をして、一週間後を締め切りとして、お持ち帰りすることに。じっくりと向き合うことで、また出来上がりも変化していくことでしょう。完成が楽しみです!

後日、ポスター完成!

締め切りの数日後、学校からふたりの作品が届きました。それぞれの個性が出ていて、とても素敵な作品です!!

中学生たちの、いつもの通学路。少し目線を変えてみると、見えていないものが見えてくる。ポスターからは、ふたりが見た景色が伝わってきます。

また、このポスターを見た他の中学生たちにも、新鮮な発見が伝わるといいですね。

誰かに伝えるための、企画・取材・制作。今回のふたりはしっかりと自分のスタイルでやってくれました!またいつでも遊びにきてね!!