謎をみつける 連載:文字さがしまちあるき

「文字さがしまちあるきーー小海町編」

2026.07.10櫻井 麻美

「文字さがしまちあるきーー小海町編」

まちあるきって、いつでもどこでもできて、本来とっても自由なもの。そんなことを証明するために、前回の佐久穂町編では思いつきで「さ」「く」「ほ」「ま」「ち」という文字を探しながら町を気ままに歩いた。

すると、今まで知らなかった風景に出会うことができ、さらにいつもの景色も新鮮に見えてくるという不思議な体験をした。なおかつ、文字を変えれば同じ場所でも永遠に楽しめるという、とってもお得な遊びであることにも気づいた。

楽しいことを見つけたら、もっとやってみたくなる。せっかくなので小海町でも、ということで、やってきました小海駅。今日はここからスタートです。小海町なので、「こ」「う」「み」「ま」「ち」という五文字を探してみよう。

前回と同じく、今日のルール設定をする。「小海町」という文字群の中からは抽出禁止、できれば個人商店の看板とか固有のフォントであること。ひらがな・カタカナは問わない。ただ、やっていて埒が開かなくなったら、ルール変更もオッケー。ゆるく楽しむことも忘れずに。

文字さがしまちあるき、小海駅からスタート

佐久穂町での経験を活かして、やっぱり商店街から攻めていくことに。看板がある場所を求めてふらふら歩き出そう。

駅前の通りのいくつかの店の看板に目を凝らす。看板はたくさんあるけれど、意外と探している文字が見つからない。歩いては止まって、歩いては止まってを繰り返し5分ほど、橋のたもとまでやってきた。そこに、トゥデイズファースト文字、ありました。記念すべきスタートは、「う」です。

千曲川にかかるアーチ橋、「清流ふれあい橋」が全てひらがなで書いてある。漢字じゃなくてよかった。土台の石と相まって、ちょっと厳かな雰囲気ながら、筆運びはたおやか。今日も幸先が良さそうだ。

写真に収め終わったあと、ふと横を見るとそこには、白樺に扮した街灯。七夕に合わせて笹が飾り付けられており、まるで本物の木みたいだ。思わずその表面に触る。

質感も樹皮に似ている。どうやって作ったんだろう。他にもいくつか白樺に擬態した柱があるので、見つけたらぜひ触ってみてほしい。

いざ看板天国へ

そのまま橋を渡って、向こう岸の商店街へ行ってみよう。

渡っていると、前方に見えてくるのが『マルケ』の看板。実は、好きな看板のひとつだ。ロゴ部分の「ケ」の部分の一画目が鳥のモチーフになっているのがお気に入り。あ、そういえば今日のターゲットの「マ」が入っているではないか。

近づいて、建物壁面に書かれた文字を採集することに。下から見上げると立体感がある。少し深めの緑色と、ざらっとした外壁との組み合わせもいい感じ。

筆の入りと出が丸っこかったり角ばっていたり。両方がある混ざり合っていることで、柔らかさと整い感が、いい塩梅。

それにしてもこの辺りは、看板天国。振り向けばそこに、いい看板。ついつい写真に収めてしまう。

こちらは見ていて心地よい収まりのアルファベット。シックなフォントで飽きのこない美しさ。きれいだ。

力王たびという商品の、独立した看板も。「はきよい」という言葉のチョイスがいいのです。店頭の陳列棚の脚部分と色が似ているのは偶然かな?

そして、ペールカラーのこちら。少し文字が薄くなってしまっているけれど、よーく見ると……「ミ」があるではないか!採集しよう。

次から次へと現れる看板。振り返ったその先には、「ち」も発見!しかもこのフォント、とても凝っている。ボリュームのある下部の太さ。マス目と相まって、唯一無二の存在感がある。かっこいい。

と、怒涛の文字フィーバー。ここへきて立て続けに三文字が見つかった。これは佐久穂町よりも早く採集完了してしまうかもしれない(スタートしてからまだ30分も経っていない!)。残すところあと一文字、「こ」も探しつつ、心が動く看板探しも同時並行で行うことにするか。というわけで、いろいろな独自フォントを手当たり次第に集めていくことに方針変更。まちあるきは自由なので、柔軟に楽しもう。

いろんな看板フォントを探して

フィーバー続きのT字路、突き当たりにあるのは『ファッションパークおおぎや』だ。こちらは全体的に丸みを帯びた丸文字風フォント。おおらかで少しポップな雰囲気が漂っている。「お」の点の位置がチャームポイント。ここを右に曲がって先へ進もう。

車でも通る道だけれど、やっぱり歩くと見えるものが違ってくる。細めの道路は運転の際はドキドキするけれど、歩いているととても落ち着く。

いつもは曲がらない道で、今日はあえて曲がってみよう。そんな風に思いつきで行動してみると、いい出会いが訪れるものだったりする。この日は、道を横切る素敵な水路を見つけた。民家の下も横切っている水の流れ。じっとり暑い気温の中、その音に癒される。

しばらく水路を眺めて歩き出すと、すぐ先に看板も。ここは、パン屋さんだったお店の跡のようだ。文字のみならず、小麦粉を描いたイラストもたまらない。キーホルダーにしたいくらい。

ん?よく見ると、「コーヒー牛乳」と書いてある。「コ」、ゲット!

「こ」「う」「み」「ま」「ち」をコンプリートだ。なんと、本日の所要時間は45分ほど。コンパクトに看板がまとまったエリアがあったので、それが勝因(?)になったのかもしれない。ノルマも達成したので、ここからはひたすら看板やフォントを楽しむためにあてもなく歩こう。もう一度千曲川を渡って、駅の側へと戻る。

お気に入りが増えていく看板コレクション

後半戦は、表通りではなく、駅の裏に続く道へ。すると、いきなり好きなタイプの駐車場(?)。こういう、番号がずらりと振られている倉庫風の建物ってなぜか心をくすぐる。港とかで見かけるイメージがあるけれど、住宅街にあるのは今まであまり見たことがない。

歩いていたら、同じような建物群を周辺各地で発見。下の写真はアルファベットのもの。

そして次の写真では真ん中のシャッター部分をよく見ると、11番から同じように割り振られている。最初に見つけたものの続きだろうか。いつも見ていた景色だったのに、初めて気づいた。これらは同じ人の持ち物なのかもしれない。

カラフル&ポップで明るい気持ちにさせてくれるお気に入りの看板もいくつかご紹介しよう。元々の色使いと経年変化による深みの相乗効果で、とても魅力的な風貌になっている『カラースタジオ 高橋』の看板。

外壁のギャラリーコーナーには写真作品が張り出されている。どの写真も素敵なので、通りかかったらぜひ見てほしい。

クリーニング屋さんは店頭ウィンドウに直接ペイントするスタイル。文字もイラストもとってもかわいらしくてひとりで興奮してしまった。グッズ化、強く希望。

お馴染みの看板も、場所によって個性があるのもおもしろい。こちらはツタに埋もれた消火栓の看板。パッと見た時に、何かに似ている気がした。

見れば見るほど、神々しさを感じる気持ちが湧き起こる。そうか、なるほど。タイの廃寺院で見た菩提樹に埋もれたブッダの頭像を彷彿とさせるからだ。

と、そうこうしていたら、あっという間に時間が経っていた。駅の裏まで戻ってきたら、最後に見つけたこの「とまれ」。とってもキュートなハートが書いてある。ついつい言うこと聞いちゃいます。

文字さがしまちあるき小海編は、看板集中エリアでターゲットの文字を早々に見つけることができた。このゲームの難易度はなんの文字を探すかと、どれくらい看板などの文字があるエリアなのかによってかなり左右されることがわかった。とはいえ、所要時間は実際にやってみないとわからない。また他の場所で挑戦してみようと思う。

そして、自由だからこそ、テーマを持ってするまちあるきもやっぱりおすすめだ。こうやって文字に注目しながらするまちあるきは、楽しい。いろいろな個性あふれるフォントたちがまちに溢れていることに改めて気づいて、豊かな表現世界が身近にあることにわくわくできるから。

今日も、いいまちあるきだった。見つけた文字と看板は、コレクションに追加しておこう。

まちあるきマップはこちら。