私が好きな、まちのこの場所ーー小海町編
なんだかんだできっとある、小海町の好きな場所。観光スポットとして取り上げられる場所だけじゃないけれど、なんだか魅力的な景色。
例えば、いつも通る度につい立ち止まってしまうような。ぼーっと眺めてしまいたくなるような。うまく言えないけど、ついつい心惹かれる場所。
そんな私の、私が好きなまちのこの場所。
みんながみんな、いいと思ってくれなくたって、別にいい。ただ、私はここが好き。小海町にある、そんな場所について。
おもちゃみたいな時計台と小海線

小海駅のチャームポイントは、なんといっても時計台だと、私は思う。そんな時計台と小海線のレトロな車両を少し違う趣きで見られるのが、このポイント。
小海駅から小海中学校へ向かう途中の道。なだらかな坂の途中で立ち止まって、下を覗き込めば、遠くに見える山々と小海駅舎と小海線。それを金網ごしに、見てみよう。金網の菱形に、小海線をちょうど入れて。周りの風景が切り取られ、ちょっとした額縁みたいになる。
額縁の中で動く、停車している車両、乗り込む人。時間の流れが変化して、ジオラマみたいに見えてくる。ふと、子どもの頃に遊んだ、線路をつなげるおもちゃを思い出す。線路が分かれたり、合流したり、たくさんあるのもいい。
ちなみに足元には暗渠もたくさんあって、ついフラフラしてしまいがち。車通りは多めなので、周りに気をつけよう。
美術館に向かうまでのキャベツロード

いつもの国道141号から、「ビックベン」を曲がって高原の方へ向かう道。「小海町高原美術館」と「八峰の湯」のある場所までのゆるやかなカーブの向こうには、八ヶ岳がとても美しい。
左右には高原野菜がたくさん育てられていて、私は勝手に心の中で“キャベツロード”と呼んでいる。育てられているのはキャベツじゃなくて、レタスかもしれないけれど。(小海町役場情報では、白菜だとか。そっちか!)
川沿いのエリアから高原エリアへのトランジション、まるで広い空へ向かっていくような高揚感をもたらすこの道を走れば、目的地に着いた頃にはすっかり仕事のことなど忘れている。
帰りはよく曲がるところを間違える。でもなんとなく国道に出られるのもまた、ゆるっと運転できて好きなのだ。
傾いた地層に感じる地球のダイナミズム

メイン道路からこっそりのびた、徒歩でしか入れない道。恐る恐る線路の下をくぐれば、まるで映画のワンシーンのような木漏れ日が迎え入れてくれる。
線路を支える石積みと斜めに走る地層のコントラストが、地球と人の歴史を語っているよう。落石注意の看板の色が、緑に映える。
猛々しい剥き出しの地層に触れると、少しひんやりしている。上まで続いている断面からは、確かにいつ石が落ちてきてもおかしくはない。ドキドキしながらも道の真ん中に立って、そのダイナミズムに思いを馳せる。
もう少し先に進むと、川にかかるレトロな石積みの線路も見られるから、のんびり周辺をお散歩するのがお気に入り。
心洗われる、昼下がりの公園

大人になったって、公園には行きたいもの。特に、平日の昼下がり。たまには仕事を休んでぽかぽかと日の光にあたりながら、ぼーっとするのが最高だ。
駐車場の横にあるこの公園は、ふらりと立ち寄りやすくて、いつも吸い寄せられる。個人的に好きな、あの笑顔の動物たちがゆらゆらする遊具があるからだ。
絶妙な距離感のリスとウサギ。奥にある木陰のベンチに座りながら、2匹の関係性について妄想を膨らませる。2匹は友人歴何年くらいだろう。ちょっと距離が離れているから、まだ1年弱くらいか。ご飯は食べる仲だけど、お互いの家にはまだ行っていなさそう。
子どもたちがいるときはなんとも牧歌的で、ゆらゆら遊具のことを考えていると、ちょっとしたマインドフルネス。今生の苦しみが全て浄化されていくような気さえする。そうか、だから、大人にも公園が必要なのだ。
トンネルを抜けると、リフトであった

高原からの帰り道、トンネルを抜けた先に、リフトがある場所。ここはもしかしたら、何がいいのかわかってもらえないかもしれない。けれど、個人的におすすめしたいポイントだ。
まず、トンネルを抜けるときのあの光溢れる感じ。不安な暗闇から希望に向かって走っている感じがして、好きだ。
そして、その先にある道を横切るスキー場の二人乗りリフト。剥き出しの人が乗っているスリリングな空飛ぶベンチって、すごくないか。
暗闇・リフト・さらに下をくぐるというスリリングの多重奏が、たまらない。
変な絶叫マシーンに乗るよりも、謎の爽快感がある。この快感は、どうしたってやめられない。
人目を忍んだ、ふたりのシルエット

小海町といえば、松原湖。湖畔の散策路は、やっぱり外せない。中でも「こうみさくほ通信」vol.3でも取り上げたアート作品「フェイス トゥ フェイス」ごしに見る湖の眺めに、最近はハマっている。
水面に伸びる木のたもとにいる無機質な二人のシルエットは、ゆらゆらと周辺の景色を映す湖面とも相性がよい。
広場の端っこに、ちょこんとひっそり佇んでいる雰囲気も、好きだ。風が吹くたびに周りの景色は揺れ動くのに、二人はぴくりとも動かない。
生きているものと、生きていないもの。美しい風景を眺めながら、哲学的な物思いに耽るのにも、ちょうどよい場所。
好きな場所に理由なんて、本来はいらない。でも、ついついその魅力について、誰かに話したくなることがある。
話すために“好き”を掘り起こしていると、さらに好きになっている。ああ、なるほど。そのために、“好き”について、誰かに話したいのかもしれない。
私の好きな場所。詳細な場所はあえて書いていない。小海町の、どこかで。もし見つけたら、こっそりと愛でてくれたら、うれしい。